ステップアップ!ジャンプサーブ!
ソフトバレーボールにおける花形プレーのひとつ、「ジャンプサーブ」。
強烈なジャンプサーブはサービスエースとなる確率も高いですし、自チームを盛り上げ、相手チームを盛り下げるといったメンタル的なメリットも大きいです。
長くソフトバレーボールに携わってきていますが最近は、硬バレー同様、強烈なジャンプサーブを打つプレイヤーが増えてきているなとも実感しています。
そんな強烈ジャンプサーブに誰もが一度は憧れるのではないでしょうか。
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しかしながら、打とうと思って簡単に打てるサーブでもないため、「自分には向いていない」と諦める方もいるようです。
そもそも、
- 身体が小さいから(女性や子どもプレーヤーも)
- 力がない、ジャンプ力が低い
という身体的に感じることや、
試してはみたけれど、
- タイミングが掴めないから
- 入らないから(サーブ成功率が低い)
といった理由で諦めてしまう方が多いようです。
ですが、ここで諦めてしまうのは少しもったいない気がします。
やり方,考え方を変えれば、まだ打てるかもしれない!
そうやって、未来の「いつか打てる自分」といった理想像を持ち続ければ打てる可能性はまだまだ広がるんです。
ジャンプサーブに必要な技術を段階的(ステップ方式)に試していき、
- どこが苦手で、それを克服できそうかどうか?
- 克服するためにはどうしたいいか?
- 克服できないにしても他の技術でカバーできないものか?
と、できるだけのことをやってみてから再度、「自分に向いてるかどうか」を判断してみてもいいのではないかと思います。
また、チャレンジすることでスパイクの能力も同じく向上するといったメリットもありますから無駄にはなりません。
Step1 自己診断
今現在、あなたができていることを確認しましょう。(4つの設問です)
@ 3歩助走(または2歩助走)でスパイクが打てる
A ネットより離れたオープントスをエンドラインより奥(アウト)まで打てる
スパイクして、このぐらいの距離を出せるとなるとジャンプサーブを打つのに必要な肩の力があるとしています。
硬バレーボールで距離を出すとなると、結構肩がしっかりしていないと距離を出せないのですが、ソフトバレーボールなので意外にも飛ばせます。自信を持って打ってみましょう。
基礎編スパイク(アタック)を参考に、スパイクでボールに体重を乗せる方法を確認しましょう。
B スパイクにドライブ回転をかけることができる(強打じゃなくても可)
NO→ジャンプサーブの特徴とひとつに「ドライブ回転」があります。力強く打ったサーブを相手コート内に入れるためにはドライブ回転が必要です。この回転がないと打球は伸びてしまい、アウトになってしまいます。
応用技術編「ドライブ回転のかけ方と必要性について」を参考にドライブを打てるようになりましょう。
C 利き手または利き手の逆手(右利きなら左手)でボールを持ち、下投げで狙った高さ(オープントス程度)まで放ることができる
利き手でも逆手でもいいので、片手でトスできるといいです。
両手トスだと助走のタイミングが取りづらいです。
いかがでしょうか?
NOがあった方は、一度初心にかえり基礎をおさらいしてみましょう。
それほど難しいことではないので、基礎を確認しながら身体を動かしていけば、すぐに全てYESになると思います。
全てYESだった方は、すでにジャンプサーブにチャレンジできる状態にあるといえます。
それで今現在打てていないのであれば、タイミング,コツなどが掴めていないだけかも知れません。
Step2から順に試していって、タイミング,コツを掴みましょう。
Step2 オーバーハンド(フローター)によるサーブ
ここでは、肩の力に自信がないなどの理由から普段はサイドやアンダーハンドでサーブを打っているかた向けのStepとなります。
※現在、オーバーハンド(フローター)で打てる方は次のStepへ進みましょう。
なんとなく、オーバーハンド(フローター)は力がないと打てないといったイメージをもっていたりしないでしょうか?
男性プレーヤーが打つものだと固定観念があったりするかも知れません。
確かに硬バレーをしていると男性はオーバーハンド、女性はサイドやアンダーと最初に教えられたりします。
しかし、ソフトバレーボールは硬バレーボールと違って、老若男女問わず楽しめるようにと、軽くて柔らかいのが特徴です。
ですから、女性や子どもプレイヤーだからといってオーバーハンドでは打てないってことはないんです。
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Step1で確認したことができれば、充分打てますから、自信を持ってチャレンジしましょう。
個人的には、ただオーバーハンド(フローター)でサーブを相手コート内に入れるだけであれば、アンダーやサイドハンドで打つサーブよりも簡単だと思っています。
アンダーやサイドだとあまり肘を曲げずに腕全体を大きく振るのでボールの芯を捉えるのが少し難しいんですよね。
まずは、オーバーハンド(フローター)でサーブを入れます!
図中@は軌道が高く、力が一番少なく済みます。
慣れてきたらA,Bと軌道をネットに近づけて(低く)していきましょう。
打ってみると分かりますが、Bになると直線的にボールを飛ばす必要があるので力を込める必要があります。
無理せず徐々に。Bの軌道も「思ったより大した事ではない」と感じれると思います。
Step3 オーバーハンド(フローター)によるドライブサーブ
Step2でオーバーハンド(フローター)のサーブに慣れてきたら、次はボールにドライブ回転を与えてみましょう。
ネットに近い軌道でサーブを打てるようになると、ボールに力が込められている分、アウトになりやすくなります。
そこでボールにドライブ回転を与えて、
- @ネットを通過するまでは力強く低い軌道
- Aネットを通かした直後にボールの失速&ドライブ回転により急降下
をさせてコート内を攻めます。
「強く打っているのに、ドライブ回転のおかげでアウトにならずにコート内に入る」くらいの感覚を掴めると最高です。
Step4 ジャンピングフローターによるドライブサーブ
Step3ができたら、軽く飛んで打ってみましょう。
ただ、この打ち方は威力のあるナックル(無回転)サーブを打つのに適しているため、もしかするとタイミングが特殊で感覚を掴みにくいかもしれません。
トスを高く上げて、3歩助走の方が打ちやすそうと感じる方は、ここで無理をせず次のStepへいきましょう。
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ジャンピングフローターサーブの打ち方は、
- @ボールは利き腕の逆手(右利きなら左手)で持ち、利き足を引いて構える
- A1歩目(右利きなら右足)を踏み出し
- B2歩目(右利きなら左足)で片足ジャンプしながらトスを前方に軽く上げ、
- Cそのまま空中でボールをヒット
となります。
一連の流れでテンポ良く打つのがコツです。
打ってみると分かりますが、流れのまま打つので、ライナー性の軌道の方が打ちやすいです。
この軌道にドライブ回転をかけるとネットにかかってしまいますので、余裕をもって高めに打ち出す必要があります。
もしかすると、ここでジャンピングフローターに覚醒する方がいらっしゃるかもしれません。
充分攻撃的なサーブですから、これは!?っと思ったら、ぜひ突き詰めてみてくださいね!(ジャンプサーブは後回し 笑)
球種はもちろん『ナックル(無回転)サーブ』です。応用技術編ナックル(無回転)サーブのコツ 参照
Step5 ジャンプサーブ用の助走とトス
3歩助走でジャンプしてコート内に着地する練習
難しくはないので、どうジャンプするか程度にご紹介します。
@エンドライン手前で踏み切って、斜め前にジャンプする
ご存知の通り、エンドラインに少しでも足がかかるとファールなので即失点です。
エンドラインからどれだけ距離をとると、自分にとって良い踏み切りができるのか確認しておきます。
※下記の【たいせつなこと】参照
A空中でコート内にいる状態でミート
私はこんなに身体を反れないのですが、硬バレーの男子プロなど見てると凄いので、憧れるあまりつい...(笑)
Bそのままコート内に着地
ジャンプサーブでは、斜め前にジャンプすることが特徴ですね。
理由としては、
- 相手コートまでの距離を短くしたい(遠いほど難しく、相手に軌道が読まれやすい)
- ボールに直進する力を与えたい(ドライブ回転に負けない直進力が必要)
などが挙げられます。
また、男性プレーヤーの場合、サーブを打った直後からブロッカーとして前衛に向かうことがあるため、この点においてもメリットかと思います。
※【たいせつなこと】エンドラインから3歩助走するだけの距離
試していくうちに自分に適した距離がわかってきます。
ここで注意することは体育館の床面にあるものや景色を目印にしてはいけないことです。
試合会場は普段の体育館と違いますから、どこでプレーしても同じ距離を測れることが大切です。
エンドラインに踵(かかと)を合わせて、ゆっくり歩いて何歩目で振り向くかといった測り方がオススメです。
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片手でドライブ回転をかけて、同じ高さにトスをする練習
Step1 自己診断でトスを上げることができるかを確認しました。
ここではより具体的にジャンプサーブを打つためのトスについてご紹介します。
おそらく『ジャンプサーブをする上で一番大切なこと』です。
いつも必ず、決まった距離から、決まった高さへ、決まった回転でトスをできたら、サーブ成功率は格段に上がります。
いつもはプレーしながら楽しみながらを重視していますが、このトスの練習はいつでもできますし、辛くもないので、いつでも何回でも練習して欲しいです。
図中@
- (1)エンドラインから3歩助走するだけの距離をとります。
- (2)左手または右手でボールを持ち、下投げでボールを撫でるようにトスします。
- (3)練習なので、助走はしなくてもいいです。
これでボールにドライブ回転を与えます。
前述していますが、片手でトスできるといいです。両手トスだと精度はあがりますが、回転を与えにくく、助走のタイミングも取りづらいです。
※次のAの高さと距離が妥当かどうか確認するときに試してください。
図中A
ここがミートするポイントなので、ここを必ず通過させます。
いつも必ず、決まった距離から、決まった高さへ、決まった回転でトス ですね。
個人差がありますので、自分に合った2を見つけて、そこを狙ってください。
図中B
ここはボールの落下点で、トス練習をしているときだけ確認するところです。
Aを狙えた時点で、同じBに落ちてきますから、正しいトスができたかどうかの確認ができます。
[補足]
片手トスは利き腕でも、逆手でもどちらでも自分に合っている方でいいです。
右利き,右手で上げる選手が多いように感じます(私も右手で上げます)が、世界トップレベルのジャンプサーバーである男子日本代表の柳田将洋選手は右手を添えて、左手で上げます。
Step6 入れにいくジャンプサーブ
タイミングを身体に覚えこませるために、強打ではない、山なりのドライブサーブを打ってみます。
強打ではないということで、「振り抜かない」くらいしか違いがないです。
トスも助走もジャンプも全力で行って、自分に合ってるポイントでミートできているかどうか確認しましょう。
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ミートではしっかりとボールにドライブ回転を与えてください。
ただのチャンスサーブなので、100%相手コートに入れることが大切です。
「こんな緩いサーブなら外すわけがない」と思えるくらいに自信をつけてください。
実はこの練習、タイミングを覚える以外にもメリットが2つあるんです。
- 1つ目:トスをミスしてもとりあえず入れにいくことが上手くなる。
- 2つ目:フェイントサーブの選択肢をもてる
ソフトバレーボールでは、トスの上げ直しはルール上できないので、トスをミスしてもサーブは打たないとダメなんです。仮にトスをミスしても最悪サーブミスにはしないリカバリーが必要です。
ジャンプサーブは強烈なので、相手のレシーバーは緊張して体が硬くなっています。
そこへ同じフォームからドライブ回転が強いけど、勢いがなく直ぐに失速するサーブを打って、レシーバーの前に落とすことができるんです。
相手が緊張しているほど効果的です。
Step7 攻めにいくジャンプサーブ
やっとここまできました。
いきなり初めてジャンプサーブを打とうとすると、ここから始めてしまって上手くいかずに諦めてしまうことがあります。
しかし、Stepごとに確認してきたことで今はかなりの確率で打てるようになっていることと思います。
Step6で確認したタイミングで強打してみるだけです。
球速があがる分、入れにいくサーブとは違ってライナー性の軌道で打つことになります。
おそらく、最初はネットにかかることが多いんじゃないかと思います。
打ち出しの角度に対して、
- ドライブ回転が強ければネットにかかる
- 球速が足りていない(遅い)とネットにかかる
この場合、球速をあげるか、打ち出し角度をあげます。(ドライブ回転は弱めない)
逆に、奥へアウトになる場合は、ドライブ回転が足りていないことが考えられます。(フカしている)
Step8 強打+α:カーブ&ドライブで攻めるジャンプサーブ
Step7で確実に打てれば、相当な武器となりますが、ここではさらに+αの応用です。
再現性が高く、最もエースを取りやすい軌道についてご紹介します。
ジャンプサーブは強烈なドライブ回転ですが、レシーバーの技術力が高いと正面に入ることでレシーブされてしまいます。
応用技術編強烈ジャンプサーブをレシーブするコツ参照
そこで、レシーバーが正面に入りにくい軌道で打ちます。
図中@の軌道
右利きなら右側に位置を取り、コート対角線上の相手コート左隅を狙います。
ドライブ回転にカーブを加えることができるのであれば、そうします。
この軌道は、相手レシーバーが先読みして、左隅にポジショニングしていないと、かなりレシーブすることが難しいです。
図中Aの軌道
@で狙いたいところにレシーバーがいる場合に、この軌道でレシーバーの間を狙います。
球速のあるカーブの打ち方、応用技術編クイックカーブでレシーブ成功率を下げるサーブ!参照
これらの軌道のサーブはレシーバーが正面に入りにくいため、サービスエースを取りやすいです。
ノータッチエースも期待できますし、触れたとしてもボールに力があるので外に弾かれやすいのです。
レシーバーに「アウトっぽいな」と思わせてからギリギリエンドライン内側に落ちる軌道もかなり効果的ですが、毎度狙って打つとなると難しい(再現性が低い)です。
狙える方は試してみてください。レシーバーがアウトであって欲しいと願った時点でサービスエースです。
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【まとめ】
今回はステップアップで記載しましたので、長文となってしまいました。
試してみると、結構な時間、自分自身の身体と向き合って楽しめるのではないかと思います。
もし、ジャンプサーブを諦めていた方のお役にたてるのであれば光栄ですし、最終ジャンプサーブをメインと判断されなかった方でも、ドライブ回転の意識などでスパイク自体の能力が向上するのではないかと期待しています。
ジャンプサーブのようなシビアなプレーには自分に合ったルーティーンが集中力を高める上で効果的ですので、
エンドラインから歩いて何歩で振り向いて、ボールを前に出し構えて、ひと呼吸おいてからトス
...のような決まりごとを作ったりして「何度やっても同じことができるように」クセにしてしまいましょう!