ダイアモンドプリンセス号の症例数からみる感染率

【新型コロナ危機】ダイアモンドプリンセス号の症例数からみる感染率

新型コロナウイルスへの不安がいまなお続いています。

今回は、ダイアモンドプリンセス号における症例数から感染率について考察してみます。

ダイアモンドプリンセス号の経緯

クルーズ船ダイアモンドプリンセス号が出発して帰港し、検疫をうけるまで

2020年1月20日、横浜港を出発し、2月3日に横浜港に帰港。
その間、鹿児島、香港、ベトナム、台湾、および沖縄に立ち寄った。

 

この航行中の1月25日に香港で下船した乗客が、

  • 1月19日から咳
  • 1月30日に発熱
  • 2月1日に新型コロナウイルス陽性を確認

 

そのため日本政府は、

2月3日 当クルーズ船に対し、その乗員乗客の下船を不許可

以降、

  • 2月3日からの2日間、全乗員乗客の健康診断が検疫官により実施
  • 2月5日に検査結果より陽性者を確認
  • 同日以降、14日間の検疫を開始

この時点でクルーズ船には、乗客2,666人、乗員1,045人、合計3,711人が乗船していた。
(参考情報:国立感染症研究所

乗船者数と感染該当者数からみる感染率

2月5日時点の総乗員数3,711人を母数として、新型コロナウイルス(COVID-19陽性)該当者は531人(2月17日時点)であることから、

 

531÷3711×100 = 14.3%

ちなみに2月23日時点では約700人の該当者ともいわれていますので、この場合は18.8%まであがります。

 

これがそのまま私たちの生活にあてはまるかというと、環境の違いなどから一概にそうとは言い切れません。

複数人がクルーズ船の同室で過ごせば濃厚接触ですし、2m内で対面すればそれも濃厚接触といわれています。

ですから下船を許可されない,あるい意味、一定空間に隔離された状態となってしまったわけですから、感染率が高めに出ているのかもしれないといえるでしょう。

 

 

年齢別感染率からわかること

国立感染症研究所調べで、当クルーズ船新型コロナウイルス(COVID-19陽性)該当者についてつぎの表にまとめられています。
【新型コロナ危機】ダイアモンドプリンセス号の症例数からみる感染率
この表から年齢別に感染率の高かった順にみてみますと、

  • 80代 24% (215人中52人)
  • 70代 22% (1015人中228人)

が高く、母数の少ない90代を除くと、次いで、

  • 60代 14% (924人中129人)
  • 50代 12% (398人中49人)

となり、40代より若い年代では一桁台となっています。

このことから、たしかに高齢者はかかりやすく注意が必要と読み取れます。

 

それにしても、総乗員3,711人中、60代以上の方は2,165人ということで乗船者の半数以上を占めているんですね。

正しい“世代別感染力”をみるにはこの点も考慮しなければいけないかもしれません。

 

さいごに

2月19日より陰性と確認された乗客の下船が開始されました。

国立感染症研究所からは、乗船された方々へむけて長期にわたる健康観察に対する労いと、私たちへむけて以下のようなお願いをされています。

下船される皆さまは、国内への新興感染症の病原体の侵入を防ぐために、長期間に渡ってご苦労いただいた方々であります。国民の皆さまにおかれては、下船された乗客の皆さまの心身の回復を手助けいただくように、最大限のご支援を賜りますようお願い申し上げます。 
令和2年2月21日 国立感染症研究所

クルーズ船関係者の心労の回復と、どうか今後、コロナウイルスがひろがりを加速させることなく、落ち着いた日常に戻ることを切に願います。